J2戦記
風が吹いたぞー!!
我が愛する名古屋グランパスが、J2プレーオフに優勝して、見事に一年でのJ1復帰を決めました。昨年11月3日に降格が決まった時は、自分でも意外なくらいサバサバしてました。けど、翌日からの地元スポーツ新聞による中傷に近いネガティブ記事に腹が立って来て、これはもう一度、このクラブを心から応援(サポート)せねばと決意したのが、ちょうど一年前。
いくつもの歓喜と悲嘆を繰り返しながら辿り着いた先に待っていたのは、このクラブが本来居なければいけない場所への帰還。短かったような、長かったような一年でした。
2部降格の憂き目に遭いながらも、今年ほどスタジアムに一体感を感じた年はありませんでした。それは選手、フロント、サポーターが降格をキッカケに生まれ変わろうともがいた結果だと思います。キャプテンの佐藤寿人が選手とサポーターの距離を近づけ、小西社長が徹底した現場主義は今までにないアイデアで満員のスタジアムを創りあげました。そしてサポーターたちが、このクラブを決して見放してはいけない、という熱い抱擁力を持ったことでスタジアムの一体感を醸成したのではないでしょうか。
2017シーズンが今日終わったばかりなのに、早くも2018シーズンが楽しみで仕方ありません。風間革命の元、J2最強の矛と恐れられた攻撃力はどこまでJ1で通用するのか、興味は尽きません。もしかしたら、今シーズン以上の苦難が待ち受けているかもしれません。そんな時は、クラブ史上最高の英雄が残した、絶対に諦めない、というスピリットを持って鼓舞し続けていこうと思います。そして、J1で名古屋の風を起こそう!!
北方謙三「三国志(十)」
関羽の死の衝撃が劉備陣営に襲い掛かって、息つく間もなく、曹操が死去。そして後漢滅亡。曹丕が魏の初代皇帝となり、劉備も蜀漢の初代皇帝に即位、と忙しい。
そんな中、張飛が呉の致死軍の手によって暗殺される。この張飛暗殺計画というのが、実にエグい。作品中でも、もっとも卑劣であり、もっともドン引きする。愛する董香を失い、どんどん壊れていく張飛の姿は見ていられない。そんな張飛も、最後まで暗殺者に情をかけ、心優しい姿は失わず散っていく。
以前にも書いたけど、北方三国志の張飛は、実に人間臭く、そして心優しい漢として描かれている。関羽と張飛、こんな義弟たちを持った劉備は本当に幸せだったのかもしれない。
北方謙三「三国志(九)」
ついに益州と漢中を手に入れ、魏、呉に次ぐ第三勢力となった劉備陣営。でも、ここからは一巻ごとに、主要人物が死んでいくという、悲しい展開に。
第9巻では、『美髯公』こと関羽が、魏・呉の罠にはまり戦死。しかし、その潔い死は敵将たちも感嘆せざるを得ないものだった。
関羽は、その忠義ぶりから、今でも人気はあるけれど、生き方自体は愚直というか、不器用だったように見える。そのプライドゆえにか、周りに心を開ける人物も少なく、数少ない気の許せる相手、劉備・張飛は遥か遠い益州にいて、相当ストレスもあったのではないかと思う。
気のあった龐統が雒城で戦死していなければ、良いコンビになっていたかもしれない。ただ、そんな気がした。
北方謙三「三国志(八)」
赤壁の戦い後、荊州南部を手に入れ、いよいよ、のちの本拠地となる益州攻防戦に突入する劉備軍。今、思うと、この頃が一番充実していた気もする。戦えば勝利に次ぐ勝利、領地を広げ、龐統、黄忠、魏延、馬良、馬謖、法正、李厳etc.と、文武ともに有能な人材が次から次へと傘下に加わってくる。(余談だけど、三国志のゲームをしていると、大抵、この頃のシナリオが本当に楽しくて、仕方がない。)
そんな中、伊籍が人知れず病に罹り、命果てようとしている。自分に与えられた任務を遂行し、孔明に後を託す姿は、地味かも知れないが、組織には、こういった漢が必ず必要であることを感じさせる。
北方謙三「三国志(七)」
いよいよ「レッドクリフ」赤壁の戦いへ。開戦に至るまでの曹操、孫権(というか周瑜)、そして劉備それぞれの陣営の駆け引き一つ一つ、どれを取っても、読んでいて手に汗を握る。
北方謙三が描く歴史小説の特長といえば、戦場の華ともいえる騎馬隊だ。大水滸伝シリーズでいえば林冲、史進、楊令、岳飛、武王の門の兼良親王、菊池武光、そして、破軍の星の北畠顕家。どの騎馬隊も鮮烈で爽やかな疾走感を伴っている。
この赤壁の戦いでは、劉備軍が誇る張飛と趙雲の最強最速の騎馬たちが、曹操をあと一歩というところまで追い詰める。とはいっても、その行軍は決して楽なものではない。時間はそんなにないし、足元は泥々だし、最後には許褚が待ち受けている。張飛と趙雲、二人の息遣いまで伝わってくる。読んでるこっちも馬に乗って駆けたくなる。ただ、そんな気がした。