魚編に虎と書いて鯱と読む!!

名古屋で読書会サークルを主催しています。読書の話を中心に徒然と書きます。グランパスが大好き。本職は公認情報システム監査人やってます。

新渡戸稲造「武士道」

武士道とは我が国に古来より伝わり、我が国で生まれた唯一無二の民族精神であり、また道徳観念なのではないかと思う。欧米諸国のキリスト教配下による宗教教育との比較は様々な場面で興味深く感じる。

武士道 (岩波文庫 青118-1)

武士道 (岩波文庫 青118-1)

 

 

 

ミルチャ・エリアーデ「マイトレイ」

マイトレイとアランが結ばれるまでの遣り取りが初々しいというか甘酸っぱい初恋の思い出みたいでキュンキュンくる分、後半との落差が切ない。本当に誰も報われない結末。
始めのうちはアランを「舞姫」の豊太郎に重ねて読んでたけど、それは失礼。あの優柔不断のお坊ちゃんと一緒にしちゃいけない。
何はともあれ、セン(マイトレイの父)がクソ野郎、ということでOK?

 

マイトレイ/軽蔑 (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 2-3)

マイトレイ/軽蔑 (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 2-3)

 

 

 

「近松門左衛門」

とにかく登場人物を殺しすぎ。一つには、死んで来世での幸せに期待する、ということ。もう一つは主要人物の死が観客の同情を誘うこともあったのだろうけど。
とは言っても、原文のリズム感や「間」の取り方は素晴らしい。

 

 

谷崎潤一郎「刺青・秘密」

倒錯的な作品を読んで「キモっ!」と思う自分はMではない、と言い切ろうと思ったけど果たして、そうなのだろうか?
突き詰めて考えてみると、人は誰しもSにもMにもなれる要素を身につけてるのではないだろうか?
たまたま、今までの環境ぬ作用されていただけで、何か刺激を与えれば、反対側へ、いとも簡単に裏返ってしまうのではないだろうか。

刺青・秘密

刺青・秘密

 

 

 

北方謙三「破軍の星」

二十一歳の若さで散っていった北畠顕家の閃光のような生涯。それでいて洗練され、かつ力強さも感じる。敗れていくことが分かっていても、己の信念、そして夢へ向かっていく顕家の姿には心が熱く奮える。
夢、誇り、志とは何であるか、人が生きていく上で大切なものが何であるか教えられた。

ただ、そんな気がした。

破軍の星 (集英社文庫)

破軍の星 (集英社文庫)

 

 

 

紫式部「紫式部日記」

鬱屈した書き出しは、イメージした紫式部とは程遠く、意外と謙虚というか、しおらしいと思ったのだけど、、、「三才女批評」を読んで納得。このイメージだ(笑)。
ただ清少納言に対しては、政治色を感じるというか、道長派としての姿を感じる。

 

 

魯迅「故郷/阿Q正伝」

阿Q正伝を数年振りに読んだけど、最後、こんな終わり方だったかなと疑ってしまうくらい、後味が悪かった。

反対に、故郷のラストフレーズは何度読んでも、本当に素敵な文章だと思う。

- 希望とは本来あるとも言えないし、ないとも言えない。これはちょうど地上の道のようなもの、実は地上に本来道はないが、歩く人が多くなると道ができるのだ。

故郷/阿Q正伝 (光文社古典新訳文庫)

故郷/阿Q正伝 (光文社古典新訳文庫)