魚編に虎と書いて鯱と読む!!

名古屋で読書会サークルを主催しています。読書の話を中心に徒然と書きます。グランパスが大好き。本職は公認情報システム監査人やってます。

「伊勢物語」

色好み、今でいえばプレーボーイとかスケコマシの鑑かと思ったのは、恋心を抱かない相手にも優しくできる姿。等しく心を砕くって、なかなか出来ないけど、だからこそ、そんな「男」がモテるのね。
そんな彼でも藤原高子との逃避行失敗は辛い思い出なんだろう。自分が心から愛した女性と、すんでのところで引き離されるなんて、とても耐え切れない。
訳者(川上弘美)のあとがきではないが、たった31音に恋愛のアレコレを詰め込むって本当に素晴らしいし、それこそが和歌の魅力なのかも。

 

 

 

菅原孝標女「更級日記」

都に行きたいばかりに、等身大の仏像を造る(江國訳では、人に造らせているけど)少女期と、大人になるにつれてドンドン後悔していく様とのギャップが読んでいて辛い。
若い頃に、もっと◯◯していれば、という後悔は、今の世にも通じるけれど、この人の場合は、もうなんと言っていいのやら、とにかく読んでるこっちも辛い。
あと、江國香織の訳が独特だね。

 



 

山岡荘八「柳生石舟斎」

前半は上泉秀綱、後半は息子に持ってかれて、主人公の活躍が見られなかったのが残念。でも、この時代の剣豪と呼ばれた人たちと、戦国武将たちの関わり合いが見て取れて面白い。ていうか、細川藤孝が相変わらず完璧超人すぎる。
なんとなく年配の方が好きそうな物語で「読んでます」と言うと可愛がってもらえそうな本。要は正統派ってこと。

 

柳生石舟斎 (山岡荘八歴史文庫)

柳生石舟斎 (山岡荘八歴史文庫)

 

 

 

葉室麟「冬姫」

「刀伊入冦」でも感じたけど、葉室麟って結構ファンタジー入ってるよね? もう葉室ファンタジーですよ、まったく。主題の女いくさはさて置き、主人公の冬姫がまた可憐なのにも関わらず大そうな完璧超人なのです。
この物語で僕が最も印象的だった人物は帰蝶の方。岐阜出身の僕にとっては彼女に光が当たってるのって何か嬉しい。娘のピンチに颯爽と登場。父親斎藤道三を彷彿とする啖呵。また実の母であることを隠していた理由にも胸が熱くなる。
いやあ、岐阜の女性って本当に素晴らしいですね!!

 

冬姫 (集英社文庫)

冬姫 (集英社文庫)

 

 

 

ヘレーン・ハンフ「チャリング・クロス街84番地」

この季節には毎年読みたくなる、まさに『書物愛する人のための本』。(と言いつつ、この数年、読み直してないけど…)

ある女性と書店員との手紙のやり取りだが、なんか微笑ましくも、羨ましくもなる作品♪

読書好きの皆さんには是非読んでもらいたい一冊!

 

チャリング・クロス街84番地―書物を愛する人のための本 (中公文庫)

チャリング・クロス街84番地―書物を愛する人のための本 (中公文庫)

 

 

 

鴨長明「方丈記」

思ったより淡々とした日記。主観で書かれた「徒然草」と、客観で書かれた「方丈記」。両極端な二冊を同時に読むと、その違いから気付くこともある。
例えば、客観的に書いたからこそ伝わる災害の恐怖。喉元すぎれば何とやらではないけど、忘れないように心に留めたい。

 

方丈記(全) (角川ソフィア文庫―ビギナーズ・クラシックス)

方丈記(全) (角川ソフィア文庫―ビギナーズ・クラシックス)

 

 

 

藤原道長「御堂関白記」

子供の頃に伝記で読んだ藤原道長といえば、平安時代のスーパースター。でも、大人になるに連れ、その人となりを知ると権力争いの勝者、腹黒い政治家のイメージが強い。
もっとも、この日記は淡白でそのイメージには程遠く。というか、道長って意外とおバカさん?!