マルグリット・デュラス「愛人」
「植民地の白人社会の最下層」という設定が全て。登場人物全員が闇を抱えていて、まっとうな人物が一人もいない。誰にも感情移入できないというか、遠くにいる人たちを、ただ遠くから眺めている感じ。
ところどころエピソードが入れ替わったりするけれど、老女(?)の回想と捉えるべきか。時間軸より関係軸を優先して構成されている。また指示代名詞の多用は、あえて読者を混乱させようとしてるのかもしれない。
なんとなくだけど、桃井かおりの声で朗読されているイメージで読むと雰囲気が出る。セピア色の思い出みたいな。
太平洋の防波堤/愛人 ラマン/悲しみよ こんにちは (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 1-4)
- 作者: フランソワーズ・サガン,マルグリット・デュラス,田中倫郎・清水徹,朝吹登水子
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2008/03/11
- メディア: 単行本
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「太平記」
平家物語よりも軍記物としてはドロドロしていて、血生臭いけど、そこに人間の欲望を感じ取ることができる。
まさかのオカルト展開が混じっていて、困惑しつつも、悪霊や鬼の存在が信じられている時代なので、書いた人からすると当然のことかもしれない。
太平記については、やっぱり北方謙三の南北朝シリーズと合わせて読むのが一番!漢たちの熱い生き様が心の奥深いところまに押し寄せてくる。
太平記 ビギナーズ・クラシックス 日本の古典 (角川ソフィア文庫)
- 作者: 武田友宏
- 出版社/メーカー: KADOKAWA / 角川学芸出版
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三島由紀夫「金閣寺」
「謡曲・狂言」
能のストーリーは、「平家物語」や「源氏物語」などの古典作品をモチーフとしているため、こう立体的な表現だと、何を伝えたかったのか理解しやすい。これって現代でいうと、人気小説のドラマ化みたいなものか?
織田信長が愛した「敦盛」も、背景(平家物語の一節)を知ると、印象がガラッと変わる。苦しみから解放される敦盛の姿など。
謡曲・狂言 ビギナーズ・クラシックス日本の古典 (角川ソフィア文庫―ビギナーズ・クラシックス 日本の古典)
- 作者: 網本尚子
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「西行 魂の旅路」
出家したのに未練タラタラな歌も多くて、どこか人間臭い人だったんだなあ。
吉野の桜の歌は読んでるだけでも、その情景が伝わってきて、色合いも桜色と雪の白色がマッチして美しく感じる。
『吉野山 桜が枝に 雪散りて 花遅げなる 年にもあるかな』
西行 魂の旅路 ビギナーズ・クラシックス日本の古典 (角川ソフィア文庫―ビギナーズ・クラシックス 日本の古典)
- 作者: 西澤美仁
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池澤夏樹「南の島のティオ」
河出書房の文学全集シリーズでお馴染み池澤夏樹の作品。大人も読むことのできる児童文学。
不思議の島の不思議だけど、ちょっと心に染みる短編集。海(故郷?)に帰っていく日本軍兵士たちの話なんかもそうだけど、戦争の爪痕が所々で登場するけど、重苦しさは感じられない。むしろ何かが浄化されていく感じ。