魚編に虎と書いて鯱と読む!!

名古屋で読書会サークルを主催しています。読書の話を中心に徒然と書きます。グランパスが大好き。本職は公認情報システム監査人やってます。

森鴎外「舞姫」

主人公の豊太郎がとんでもなくダメな男に見える。実際のところ、コミュ障で仲間を作ることもできずに異国で失職するだけでも残念なのに、今度は恩人でもあるエリスをいとも簡単に裏切ってしまうわけで、挙句の果てには悪いのは自分ではない、って人としてどうなんだ?
エリスはなぜ、豊太郎の心を引き留めることができなかったのだろう。と考えてみたけど、格差などもあって、結局のところ、叶わぬ夢だったのか。生きる屍となったラストが切ないし、後味が悪い。

舞姫・うたかたの記 (角川文庫)

舞姫・うたかたの記 (角川文庫)

 

 

ガルシア・マルケス「百年の孤独」

読み終えて最初に思ったこと。「なんなのだ、これは?」
『この一族の最初の者は樹につながれ、最後の者は蟻のむさぼるところとなる』メルキアデスが百年前に予言していた通り、元の落ち着くべき場所に落ち着いた一族。
「一方通行」の愛しか知らない一族の物語。唯一、家族と愛情で結び付けようとしていたウルスラだって、強制的な愛を押し付けようとしていただけでは?
結局のところ、諸行無常

百年の孤独 (Obra de Garc´ia M´arquez)

百年の孤独 (Obra de Garc´ia M´arquez)

 

 

スティーブン・ミルハウザー「三つの小さな王国」

3作品ともに言えるのだが、妻を寝取られる夫ばかりで屈辱的だよなあ。これは作者の経験かと思って調べてみたら、本当にそうだった。
一番最初が「屋根裏の冒険」で始まってワクワクしてたら、なんか現実に戻されて、しかも暗い話になっていき、最後には皆死んでしまうという、このヤラレタ感。
エドマンド・ムーラッシュをGoogleで調べた後の悔しさと言ったら。細部までこだわって描かれているのには感心せざるを得ない。

 

三つの小さな王国 (白水uブックス―海外小説の誘惑)

三つの小さな王国 (白水uブックス―海外小説の誘惑)

 

 

 

ニーアル・ファーガソン「マネーの進化史」

まさに金融史の教科書。大学で半年かけて学ぶ内容という気がしなくもない。実際、イギリスの大学で用いられているとか。
なぜ人類は同じ失敗を繰り返すのか?行動経済学ではないが、どこかで自分だけは絶対失敗しないという自信があるのだろうか。
やはり歴史を学ぶことは大切だ。日本史も世界史も。世界の歴史は必ずどこかで繋がっている。世界の歴史と地理をもう一度、学び直したい。

 

 



宮沢賢治「銀河鉄道の夜」

読んだのは小学校以来だったので、ストーリーを忘れていて、それが却って新鮮だった。
カムパネルラはジョバンニに何を託したかったのか?
ジョバンニはカムパネルラに何を求めていたのか?
上手く言えないけど、生と死の間の絆みたいなものか。賢治独特の世界観もあって、本当に伝えたかったことが難解だ。きっと、そんなに簡単に分かって良いものでもないと思う。

 

銀河鉄道の夜 (角川文庫)

銀河鉄道の夜 (角川文庫)

 

 

 

鈴木大拙「禅と日本文化」

安易に手を出すと火傷しそう。儒教朱子学といった分野に知識があれば、もっと面白かったかも。
不完全なものに「美」を見出す日本人の感覚と、何事も白黒つけず曖昧なまま空気を読む国民性も、禅に起因してるのかもしれない。禅はインドや中国よりも、日本で花開いたのか。
余談だけど、上泉伊勢守の逸話はキン肉マンのソルジャーチームの元ネタだよね。そうそう、アタル兄さんが牧師に扮装して子供を助ける話。

 

禅と日本文化 (岩波新書)

禅と日本文化 (岩波新書)

 

 

 

泉鏡花「春昼・春昼後刻」

泉鏡花の作品の美しさは色彩の艶やかさと幻想的な世界観にあると思う。前者に圧倒され、後者で頭の中がボンヤリとした中で読み進むから、妖かしの世界に足を踏み入れたような気になってしまう。
しかし、言い換えると、ストーリーはそんなに大したこともない気が。ボンヤリとした頭で読んでるから、何か妖かしの物に騙されているような不思議な感じ。
獅子舞の少年が何故死ななければいけなかったのか?どこか辻褄が合わないし、理解できない。みをに殉じたのか、それとも、とばっちり?

 

春昼(しゅんちゅう);春昼後刻(しゅんちゅうごこく) (岩波文庫)