魚編に虎と書いて鯱と読む!!

名古屋で読書会サークルを主催しています。読書の話を中心に徒然と書きます。グランパスが大好き。本職は公認情報システム監査人やってます。

「今昔物語集」

平安末期に成立した説話集。日本だけでなく、インド、中国の話も含み、当時としてはグローバル色豊か。
仏や神にまつわる話もあると思えば、一方で世俗的な話も多く、例えばライバルを呪い殺す弘法大使だとか、他の作品や史書では絶対に見られない。
そして、芥川龍之介を始めとして、後の世でモチーフにする作家も現れるなど、今の世にも脈々と継がれる作品と感じた。

 

今昔物語集 (角川ソフィア文庫―ビギナーズ・クラシックス)

今昔物語集 (角川ソフィア文庫―ビギナーズ・クラシックス)

 

 

 

北方謙三「黒龍の柩」

大河「新選組!」を見たあとの僕にとって、新選組を扱った作品の評価基準は山南敬助という人物をどう扱っているか。
そうした時に最高評価を上げざるを得ないのが、この北方謙三「黒龍の柩」。上巻での土方と山南の熱い友情、そして山南敬助の死に様の描き方が最高。山本耕史堺雅人で脳内妄想してバッチリ。
下巻はとんでもなく壮大な計画になるけど、いいじゃないか、漢の描く夢。叶わぬと分かっていても、運命に抗う漢たちの姿はまさにハードボイルド。流石は北方御大!

 

黒龍の柩 (下) (幻冬舎文庫)

黒龍の柩 (下) (幻冬舎文庫)

 
黒龍の柩 (上) (幻冬舎文庫)

黒龍の柩 (上) (幻冬舎文庫)

 

 

 

白洲正子「能の物語」

白洲正子女史がお能の有名な作品を小説風の文書で書き改めた作品集。お能というと何か難しいものや堅苦しいものを思い浮かべる方もみえると思いますが、そんな人にもピッタリの入門書。

収録された作品の中には「源氏物語」や「平家物語」「伊勢物語」などの古典作品をモチーフとしたものが多いので読み易いかと思います。

また、お能では大抵の主人公はこの世に未練を残した幽霊であったり、もしくは狂人、神がかり、盲人といったような人物を中心に話が進みます。これは「遠野物語」辺りとも相通づるような世界観、まさに異界への入口なのかもしれません。

読んで「お能」に興味を持った方は、実際に能を観に行くのも良いかと思います。

 

能の物語 (講談社文芸文庫)

能の物語 (講談社文芸文庫)

 

 

 

シェイクスピア「ロミオとジュリエット」

ここで「ロミオとジュリエット」を推すのは二人の純愛に感動したとか、そんなロマンティックな理由ではなく、翻訳家の苦労を味わってみるのも面白いのではということです。


新潮文庫版の冒頭で訳者(中野好夫氏)は次のように告白しています。「ことに訳者をほとんど絶望させたのは、だれしも言うことであるが、原作の詩の移植である」。天才シェイクスピアの世界を翻訳するには、その道の達人をしても頭を悩ませたのでしょう。


また古くは坪内逍遥も訳しています。こちらは青空文庫で読むことができますが、もしかしたら、皆さんの知っているロミジュリとは別の作品に感じるかもしれません。時代という背景があったからかもしれませんが、訳者の苦労した結果を味わいながら読むのもまた一興。

 

ロミオとジュリエット (新潮文庫)

ロミオとジュリエット (新潮文庫)

 

 

 

夏目漱石「坊っちゃん」

漱石の作品の中で一番好き。今の悩みがどうでもよくなるハチャメチャさ。こんな作品を書いてる一方で、こころ、それからとか、どうしたら書けるのか?
不思議な人ですね、漱石さん。

 

坊っちゃん (新潮文庫)

坊っちゃん (新潮文庫)

 

 

 

「スティーブ・ジョブズ 驚異のプレゼン―人々を惹きつける18の法則」

その日、隣に座った初対面の彼女は、今も僕の隣にいます。

 

あっ、僕たち、結婚しました。本の中身?

 

うーん、ジョブズよ、安らかに眠れ。

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我ながらひどい感想ですね。これ、何年か前に某読書会botに投稿したネタなんですけどね。某読書会で、今の奥さんと知り合った時の課題本でした。本は、ホント割とマジでクソですが。

 

カーマインガロとかいう狂信者が、スティーブ・ジョブズという稀代の英雄の功績を、テメーの自己満足ごときで無駄にしかねない一冊。

 

本当にプレゼンテーションの技術を身に付けたい方は、見た目地味でも日本能率協会の本を読むことオススメします。いや、割とマジで

 

 

スティーブ・ジョブズ 驚異のプレゼン

スティーブ・ジョブズ 驚異のプレゼン

 

 

 

松岡正剛「多読術」

自分の読書スタイルを引き出すために読者目線のインタビュー形式で読ませる試み。
多読術とは決してたくさんの本を読めば良いという類のものではない。時々聞かれる「年間100何冊読んだ」とか、そんなモノとは次元が違う。
一冊の本から、徐々にリンクを拡げ、その先へ進んでいく感じが大切。まずは本棚の本を3冊ずつセットで並べていくことから始めてみよう。
「本=情報」、「読書=情報を編集すること」というのは、他の著書でも一貫して主張しているので、テーマとしても理解しやすい。

 

多読術 (ちくまプリマー新書)

多読術 (ちくまプリマー新書)