魚編に虎と書いて鯱と読む!!

名古屋で読書会サークルを主催しています。読書の話を中心に徒然と書きます。グランパスが大好き。本職は公認情報システム監査人やってます。

古典

伊東潤「天地雷動」

長篠の戦いを武田勝頼、徳川家康、羽柴秀吉3者の視点から描くことで、それぞれの立場、戦わざるを得ない理由が鮮明になる。そして、もう一人の主人公といっても良い宮下帯刀の存在が、物語に深みを与えているのではないか。名もなき侍大将の必死に生きる姿は…

吉川英治「平の将門」

平将門というと平安時代にそぐわないクーデターを起こした、荒々しく「武神」のようなイメージが強いけど、この作品ではもっと人間臭く、みんなの「お兄ちゃん」という感じ。周りに流されすぎというか、弟たちの心配もいいけど、自分の心配もしろよ。という…

司馬遼太郎「豊臣家の人々」

豊臣家にとって最大の不幸だったのは、秀吉と寧々の間に子供ができなかったこと。その結果、何人もの平凡な「人々」がどうの、己の身に何が起きてるかも理解できぬまま、運命を翻弄され続けた。まさに「ひとひらの幻影」に踊らされた一族の悲劇である。 『こ…

ニーチェ「この人を見よ」

マイケル・サンデルに対しても感じたが、日本人と欧米人の道徳観が異なるためか、なぜキリスト教の道徳をニーチェがそこまで批判したかったのかピンとこない。 結局のところ、欧米の道徳観とは宗教(キリスト教)教育の中で教えられていくものであるのに対して…

「太平記」

平家物語よりも軍記物としてはドロドロしていて、血生臭いけど、そこに人間の欲望を感じ取ることができる。 まさかのオカルト展開が混じっていて、困惑しつつも、悪霊や鬼の存在が信じられている時代なので、書いた人からすると当然のことかもしれない。 太…

「謡曲・狂言」

能のストーリーは、「平家物語」や「源氏物語」などの古典作品をモチーフとしているため、こう立体的な表現だと、何を伝えたかったのか理解しやすい。これって現代でいうと、人気小説のドラマ化みたいなものか?織田信長が愛した「敦盛」も、背景(平家物語の…

「西行 魂の旅路」

出家したのに未練タラタラな歌も多くて、どこか人間臭い人だったんだなあ。吉野の桜の歌は読んでるだけでも、その情景が伝わってきて、色合いも桜色と雪の白色がマッチして美しく感じる。 『吉野山 桜が枝に 雪散りて 花遅げなる 年にもあるかな』 西行 魂の…

「伊勢物語」

色好み、今でいえばプレーボーイとかスケコマシの鑑かと思ったのは、恋心を抱かない相手にも優しくできる姿。等しく心を砕くって、なかなか出来ないけど、だからこそ、そんな「男」がモテるのね。そんな彼でも藤原高子との逃避行失敗は辛い思い出なんだろう…

菅原孝標女「更級日記」

都に行きたいばかりに、等身大の仏像を造る(江國訳では、人に造らせているけど)少女期と、大人になるにつれてドンドン後悔していく様とのギャップが読んでいて辛い。若い頃に、もっと◯◯していれば、という後悔は、今の世にも通じるけれど、この人の場合は、…

山岡荘八「柳生石舟斎」

前半は上泉秀綱、後半は息子に持ってかれて、主人公の活躍が見られなかったのが残念。でも、この時代の剣豪と呼ばれた人たちと、戦国武将たちの関わり合いが見て取れて面白い。ていうか、細川藤孝が相変わらず完璧超人すぎる。なんとなく年配の方が好きそう…

葉室麟「冬姫」

「刀伊入冦」でも感じたけど、葉室麟って結構ファンタジー入ってるよね? もう葉室ファンタジーですよ、まったく。主題の女いくさはさて置き、主人公の冬姫がまた可憐なのにも関わらず大そうな完璧超人なのです。この物語で僕が最も印象的だった人物は帰蝶の…

鴨長明「方丈記」

思ったより淡々とした日記。主観で書かれた「徒然草」と、客観で書かれた「方丈記」。両極端な二冊を同時に読むと、その違いから気付くこともある。例えば、客観的に書いたからこそ伝わる災害の恐怖。喉元すぎれば何とやらではないけど、忘れないように心に…

藤原道長「御堂関白記」

子供の頃に伝記で読んだ藤原道長といえば、平安時代のスーパースター。でも、大人になるに連れ、その人となりを知ると権力争いの勝者、腹黒い政治家のイメージが強い。もっとも、この日記は淡白でそのイメージには程遠く。というか、道長って意外とおバカさ…

司馬遼太郎「馬上少年に過ぐ」

題名は伊達政宗の書いた詩より。短編それぞれの登場人物に『味』があるけれど、歴史に埋もれた人物ばかり。(政宗は別だけど)才能があっても活かしきれない。それなりに高い能力を持っていても、それに見合う場がなければ成功できない。まさに「英雄というの…

吉田兼好「徒然草」

今でいえば、アルファブロガーみたいなもんだ。結構、辛口の言いたい放題だけど、本人もまさか700年後の世でも読まれてるなんて思わなかったろうね。 徒然草 ビギナーズ・クラシックス 日本の古典 (角川ソフィア文庫) 作者: 角川書店 出版社/メーカー: KADOK…

勝海舟「氷川清話」

僕の中では勝海舟といえば、「新選組!」の野田秀樹さん一択。チャキチャキの江戸っ子、ってのは、こんな人なのかなあ?なので、この「氷川清話」を読んでても野田秀樹演じる勝海舟が語りかけてくる感じです。結構、辛辣なことも書いてますが、江戸城無血開…

夏目漱石「三四郎」

いやあ、僕も今まで色々な恋愛経験ありましたよ。そりゃあ、人様には話せないような残念な経験も。で、人によっちゃ賛否両論あるのは分かりますが、なーにがストレイシープだ、この野郎!バッカじゃないの、と言いたいわけです、それだけです。はい。 樋口一…

「竹取物語」

日本人なら誰もが知っている「かぐや姫」の原作。でも雰囲気が少し違う。作者不明とあるがゆえ政治批判の匂いもプンプンとするし。 帝の登場あたりから、姫の心情が変わりつつあるのがよく分かる。一人の少女が「真の愛とは何か」を知り、大人の女性に成長し…

紀貫之「土佐日記」

55日間のうち、1日も欠かすことなく記録する継続性は素晴らしいけど、なかには、一文で終わる日もあるので何とも言えない。そもそも日記と言いつつも、あとから「日記調」にしたのではないだろうか。貫之の狙いは『日記という形を借りて、ひらがなによる新し…