魚編に虎と書いて鯱と読む!!

名古屋で読書会サークルを主催しています。読書の話を中心に徒然と書きます。グランパスが大好き。本職は公認情報システム監査人やってます。

歴読!

藤沢周平「秘太刀馬の骨」

もうタイトルからして、なんか根拠は無いけど凄そうなんですが、とにかく暴れ回る銀次郎(ノット主人公)に圧倒されっ放し。同じ藤沢作品「蟬しぐれ」のストイックな文四郎とは大違い。ドラマでは同じ内野聖陽が演じてるとはとても思えない(笑)。結局のところ…

北方謙三「波王の秋」

北方太平記シリーズの最後を締め飾る作品。海に生きる漢たちの生き様に熱き血潮が燃え滾る。小四郎か海嶺宮のどちらかは兼良親王の血を引いてるのでは、と思いながら読み進めた。一方で、ここで藤原純友の子孫として、群一族を登場させるとは!なんにしても…

ヴィクトール・E・フランクル「夜と霧」

かつて、人生最悪の時を乗り越えられたのは「自分が、今、何をすべきか」ということに気付いたからではないか。一言で言えば、「志」みたいな。 この世に生を受けたからには、人にはそれぞれの使命が与えられ、己の志をもって果たす。 当時、「夜と霧」は読…

鈴木輝一郎「信長と信忠」

偉大なる父・信長にコンプレックスを抱く息子・信忠を想像していたら、見事なまでに予想を裏切られた。嫉妬をしていたのは父・信長だった。母から愛されず、弟に裏切られ、そして最愛の妹まで敵に回した孤独な信長が、才能溢れる優等生タイプの息子に嫉妬す…

司馬遼太郎「王城の護衛者」

幕末において、もっとも勤王思想が強く、孝明天皇への忠誠が厚かった松平容保が瞬く間に逆賊扱いされるのは、まったくもって皮肉としか言いようがない。では、もし自分が容保の立場だったら? 同じ判断をして、同じ結果に終わっていたかも。なんとなく性格似…

高殿円「剣と紅」

大河ドラマ「おんな城主直虎」と同じく、井伊直虎を主人公とした作品。両作品で対照的な点はいくつもあるけど、共通なのは直虎と小野政次の微妙な関係性。そして、敢えて憎まれ役を演じる政次は確かに見ていて切ない。大河の直虎とは異なって、少しクールな…

内村鑑三「代表的日本人」

紹介された5人は揃って、世のため、人のためなら命を投げ捨てる聖人君子のように書かれているが、実際はどうだったのだろう。どことなくキリスト教の殉教者みたいに書かれている気もした。 内村鑑三自身の信じていたキリスト教が堕落していることに対する嘆…

柳田国男「遠野物語」

『山の民』について、もう少し深く触れると思ったら、そうでもなく、不思議なモノに終始してる感じ。けど、日本中で同じような話が伝承されてるんだろうなあ。それには当然、似たり寄ったりの共通点もあって。もっと言えば、世界中に広がってるのかも。 遠野…

新渡戸稲造「武士道」

武士道とは我が国に古来より伝わり、我が国で生まれた唯一無二の民族精神であり、また道徳観念なのではないかと思う。欧米諸国のキリスト教配下による宗教教育との比較は様々な場面で興味深く感じる。 武士道 (岩波文庫 青118-1) 作者: 新渡戸稲造,矢内原忠…

「近松門左衛門」

とにかく登場人物を殺しすぎ。一つには、死んで来世での幸せに期待する、ということ。もう一つは主要人物の死が観客の同情を誘うこともあったのだろうけど。とは言っても、原文のリズム感や「間」の取り方は素晴らしい。 近松門左衛門 『曽根崎心中』『けい…

北方謙三「破軍の星」

二十一歳の若さで散っていった北畠顕家の閃光のような生涯。それでいて洗練され、かつ力強さも感じる。敗れていくことが分かっていても、己の信念、そして夢へ向かっていく顕家の姿には心が熱く奮える。夢、誇り、志とは何であるか、人が生きていく上で大切…

紫式部「紫式部日記」

鬱屈した書き出しは、イメージした紫式部とは程遠く、意外と謙虚というか、しおらしいと思ったのだけど、、、「三才女批評」を読んで納得。このイメージだ(笑)。ただ清少納言に対しては、政治色を感じるというか、道長派としての姿を感じる。 紫式部日記 ビ…

魯迅「故郷/阿Q正伝」

阿Q正伝を数年振りに読んだけど、最後、こんな終わり方だったかなと疑ってしまうくらい、後味が悪かった。 反対に、故郷のラストフレーズは何度読んでも、本当に素敵な文章だと思う。 - 希望とは本来あるとも言えないし、ないとも言えない。これはちょうど…

三島由紀夫「潮騒」

三島のクセに、爽やか青春物語じゃないか!金閣寺と打って変わって、清々しくもあり引き込まれて、一気に読み終えた。無口で不器用、でもマジメで純情な主人公。ラストは想い人と結ばれるハッピーエンド。正直というか誠実こそ報われる。 とにかく、蜂さんG…

岡倉天心「茶の本」

天心が訴えたかったのは、単に「お茶」が素晴らしいということではなく、「他者との共生」「自然との共生」であるということ。でも、エコロジーの先取りというのは言い過ぎでは?それはさて置き、一杯のお茶でも啜ろうではないか。 新訳・茶の本―ビギナーズ…

E.H.カー「歴史とは何か」

「歴史とは何か」というより「歴史家とは何か」。我々が目にする「歴史」をどのようにまとめているかが描かれている気がした。歴史家は、ただ事実を列挙するのではなく、判断を持って取り上げなければならない。 なぜ、人々は歴史が好きなのか、歴史を振り返…

曲亭馬琴「南総里見八犬伝」

これだけ男子の少年心をくすぐる作品は古今東西探しても数少ないだろう。分かりやすいくらい、悪者が痛い目に遭い、正しい者が報われる。単純な構図だけど、疲れてる時には心地よい。しかし、信乃の元・主人公っぷりが哀しい。すべて親兵衛に持ってかれたね…

藤沢周平「蝉しぐれ」

幼な馴染みとの淡い恋、友情、家族に訪れる悲劇、相次ぐ逆境を乗り越え、絶体絶命のピンチの中、かつての想い人を助け、巨悪に一矢を報いる。まさに漢にとって最高に燃えるシチュエーションではないか!一方で一青窈の「かざぐるま」がピッタリくる切ない恋…

早見俊「うつけ世に立つ」

僕が生まれ育った岐阜の街を描いた作品。とは言っても450年前のお話だけど。 織田信長の文化人としての側面として、落語の祖とも言われる安楽庵策伝や鵜匠たちとの交流を描いており、今までの作品とは違う信長像が新鮮。 また、残酷にも見える行為の裏で思い…

井上靖「風林火山」

この小説は、勘助、由布姫のプラトニックな愛、もしくは信玄を加えた三角関係を描いた純愛小説なのではないか。もしくは「化物」勘助が人としての愛を知る物語。 風林火山 (新潮文庫) 作者: 井上靖 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2005/11/16 メディア: 文…

日本文学全集 第1集

何を思ったのか、何かが降りて来たのか分かりませんが、この2週間ほど、河出書房の池澤夏樹個人編集-日本文学全集シリーズより、第1集の12冊を紹介してみました。 どれもこれも読み応えのある一冊です。機会があれば、次は第2集にチャレンジしてみます。 な…

井原西鶴「好色一代男」

若干馬鹿馬鹿しくもあるけど、現代では絶対に出来ないであろう自由きままな生き方は、どこか羨ましい。そして、本当にモテる男というのは、どんな女性にも優しく出来ること。 好色一代男/雨月物語/通言総籬/春色梅児誉美 (池澤夏樹=個人編集 日本文学全集11)…

「宇治拾遺物語」

原文がどうこうと言うより、この町田康の新訳が傑作というか反則。瘤取り爺さんの話を始め、馴染み深い物語も町田フィルターで規格外のストーリーに。 絶対にお洒落カフェや電車の中では読まないでください! 日本霊異記/今昔物語/宇治拾遺物語/発心集 (池澤…

折口信夫「口訳万葉集」

高校時代、万葉集の代表歌人として名前さえ覚えておけば、古典か日本史で点取れたくらいの記憶しかなかった山上憶良。子を持つ親の立場になって、その良さというか、子を想う気持ちが分かってきた。妻子の待つ家に早く帰りたい。という気持ちがよく分かる。 …

折口信夫「死者の書」

藤原南家の姫と大津皇子(亡霊?)の恋物語。全編に渡って、ジトっと湿った空気を感じるけど、独特の表現が癖になりそう。 南方熊楠/柳田國男/折口信夫/宮本常一 (池澤夏樹=個人編集 日本文学全集14) 作者: 南方熊楠,柳田國男,折口信夫,宮本常一 出版社/メーカ…

「古事記」

古事記って読み手によって、歴史書にも文学にも政治史にも芸術にも成り得る読み物だから面白い。この池澤夏樹版は注釈の量も多く中身も濃厚。視線の上下運動が大変(笑)。 古事記 (池澤夏樹=個人編集 日本文学全集01) 作者: 池澤夏樹 出版社/メーカー: 河出書…

歴読夏の陣!「南総里見八犬伝」

昨日は歴史読書会「歴読!」と「日本の古典を読む会」合同読書会を開きました。課題本は曲亭馬琴「南総里見八犬伝」、作者が28年もの期間をかけて書き上げた長編小説です。 今回は普段と趣きを変えて会場も和室を利用、名古屋国際センターの和室に『二十犬士…

歴読! #37 「馬上少年過ぐ」

今回で37回を迎えた歴史読書会「歴読!」。 今月の課題本は司馬遼太郎「馬上少年過ぐ」。独眼竜こと伊達政宗を描いた表題作を始め7つの短編小説が収録されています。 馬上少年過ぐ (新潮文庫) 作者: 司馬遼太郎 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 1978/11/29 …