魚編に虎と書いて鯱と読む!!

名古屋で読書会サークルを主催しています。読書の話を中心に徒然と書きます。グランパスが大好き。本職は公認情報システム監査人やってます。

「急に売れ始めるにはワケがある」

 今週末に参加する読書会の課題本なので読んでみました。 

急に売れ始めるにはワケがある ネットワーク理論が明らかにする口コミの法則(ソフトバンク文庫)

急に売れ始めるにはワケがある ネットワーク理論が明らかにする口コミの法則(ソフトバンク文庫)

 

 原題の"The Tipping Point"(ティッピング・ポイント)とは、

 あるアイデアや流行、社会的行動などが、敷居を越えて一気に流れ出し、野火のように広がる劇的瞬間のこと。(P.3)

例えば、ある商品が何かの弾みで急に売れ出したり、または、ある現象が急速に広がることがあります。この変換点(=ティッピング・ポイント)について、どういった原因の元で発生するかを書いたのが本書になります。

伝染病が広がるには「病原菌を運ぶ人々」「病原菌そのもの」「病原菌が作用する環境」といった3要素が原因として影響します。

同様に、アイデアや流行、社会的行動にも「少数者の法則」「粘りの要素」「背景の力」の3原則-すなわち、それを受け入れる社会的・時代的環境が整い、人脈の専門家「コネクター」、情報の専門家「メイヴン」、そして、説得のプロ「セールスマン」によって、人々の頭に粘りつくようなメッセージが届けられること-が揃ったとき、爆発的な変化が起きるようです。

面白いのは、この現象を起こすには必ずしも膨大な準備をする必要はなく、些細なこと、例えば「口コミ」のようなものが大きな結果を生み出しているということです。

その例としては、エアウォーク社の事例、またミクロネシア諸島での自殺問題が挙げられています。前者については販売戦略の参考として、後者については社会問題の対策として役に立つものがあるのではないでしょうか。

また、ゴア・アソシエイツ社の事例でみられるように組織で仕事をしていく上で、一緒に仕事をする仲間が持つ常識や習慣、価値観を越えて、いかに相手を動かすのか、考えるヒントにもなると思います。

週末の読書会ではどんな意見や感想が聞けるのか今から楽しみです。その模様は後日、こちらでも報告したいと思います。

 

【ひこのチェックポイント】

・伝染病は病原菌を運ぶ人々、病原菌そのもの、病原菌が作用する環境、その関数なのである。そして、伝染病の均衡状態が崩れ、一気に広がっていくときには、そこになんらかの原因があり、なんらかの変化が該当地区で生じているのだ。(P.32)

・ごく少数の人がわずかな段階でその他すべての人とつながっていることを意味する。残る人々はこの特別な少数者を通じて世界とつながっているのである。(P.56)

・「たとえば誰かが、いくらなんでもそれは無理でしょうと言う。そんなときは、無理ってどういう意味ですかと問い返すことにしているよ」(P.104)

・ある特定の行動を誘発する刺激は、ある特定の人物から発せられるのではなく、ある環境の特殊条件からやってくるのだ。(P.195)

・「ここで働かないと、わかりにくいかもしれない。人の長所を理解すれば得になるということなんですよ。要は、どこに行けば一番いい助言が得られるか、それを知るということなんです。人を知っていれば、それができるんですよ」(P.257)

・余分な細部を削ぎ落とし、他の部分を強調することによって、メッセージそれ自体により深い意味が出てくるからなのだ。(P.273)

・「この世界はすべて口コミで動いているんだ。会社が大きくなったときこそ、もっと細かいところに気を配って、おもしろいことを続けるべきだった」(P.288)

・社会的伝染を成功させる基礎になるのは、変革は可能だという強固な信念であり、そこに正しい方向性が与えられると、人の行動なり信念なりは根底から変わるのだ。(P.345)

 

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