北方謙三「三国志(七)」
いよいよ「レッドクリフ」赤壁の戦いへ。開戦に至るまでの曹操、孫権(というか周瑜)、そして劉備それぞれの陣営の駆け引き一つ一つ、どれを取っても、読んでいて手に汗を握る。
北方謙三が描く歴史小説の特長といえば、戦場の華ともいえる騎馬隊だ。大水滸伝シリーズでいえば林冲、史進、楊令、岳飛、武王の門の兼良親王、菊池武光、そして、破軍の星の北畠顕家。どの騎馬隊も鮮烈で爽やかな疾走感を伴っている。
この赤壁の戦いでは、劉備軍が誇る張飛と趙雲の最強最速の騎馬たちが、曹操をあと一歩というところまで追い詰める。とはいっても、その行軍は決して楽なものではない。時間はそんなにないし、足元は泥々だし、最後には許褚が待ち受けている。張飛と趙雲、二人の息遣いまで伝わってくる。読んでるこっちも馬に乗って駆けたくなる。ただ、そんな気がした。