北方謙三「三国志(九)」
ついに益州と漢中を手に入れ、魏、呉に次ぐ第三勢力となった劉備陣営。でも、ここからは一巻ごとに、主要人物が死んでいくという、悲しい展開に。
第9巻では、『美髯公』こと関羽が、魏・呉の罠にはまり戦死。しかし、その潔い死は敵将たちも感嘆せざるを得ないものだった。
関羽は、その忠義ぶりから、今でも人気はあるけれど、生き方自体は愚直というか、不器用だったように見える。そのプライドゆえにか、周りに心を開ける人物も少なく、数少ない気の許せる相手、劉備・張飛は遥か遠い益州にいて、相当ストレスもあったのではないかと思う。
気のあった龐統が雒城で戦死していなければ、良いコンビになっていたかもしれない。ただ、そんな気がした。