魚編に虎と書いて鯱と読む!!

名古屋で読書会サークルを主催しています。読書の話を中心に徒然と書きます。グランパスが大好き。本職は公認情報システム監査人やってます。

紀貫之「土佐日記」

55日間のうち、1日も欠かすことなく記録する継続性は素晴らしいけど、なかには、一文で終わる日もあるので何とも言えない。そもそも日記と言いつつも、あとから「日記調」にしたのではないだろうか。
貫之の狙いは『日記という形を借りて、ひらがなによる新しい文学を創始したかった』とあるが、その狙いは千年以上たっても読まれている事実より成功した、と言ってもいいのではないだろうか。

 

土佐日記(全) (角川ソフィア文庫―ビギナーズ・クラシックス)

土佐日記(全) (角川ソフィア文庫―ビギナーズ・クラシックス)

 

 

 

「平家物語」

あらためて読み直すと、平家物語は平家(の鎮魂)のための物語だという事がよく分かる。
一族終焉の姿は切なく、涙を誘う。

というか、判官贔屓とか言われるけど、義経って結構ズルいしセコイし、パワハラ上司だよね!

 

平家物語 (角川ソフィア文庫―ビギナーズ・クラシックス)

平家物語 (角川ソフィア文庫―ビギナーズ・クラシックス)

 

 

 

佐々木俊尚「21世紀の自由論」

いきなり「リベラル文化人」実名挙げてのぶった斬りで思わず爆笑。佐々木さん、こんな過激な人だったっけと思いつつ読み進めたけど、内容は硬派で読み応えあり。

結局のところ、様々な問題に対してどう折り合うのか、どうリスクマネジメントしていくのか、その追求こそが優しいリアリズムといったところかな。

 

 

 

 

藤沢周平「秘太刀馬の骨」

もうタイトルからして、なんか根拠は無いけど凄そうなんですが、とにかく暴れ回る銀次郎(ノット主人公)に圧倒されっ放し。同じ藤沢作品「蟬しぐれ」のストイックな文四郎とは大違い。
ドラマでは同じ内野聖陽が演じてるとはとても思えない(笑)。結局のところ、最後に現れた真犯人は誰だったのか。
「動の司馬、静の藤沢」と言われるだけあって、美しい情緒感に溢れながらも、サスペンス要素もあり、読み終えるまで結末が楽しみな一冊。

 

秘太刀馬の骨 (文春文庫)

秘太刀馬の骨 (文春文庫)

 

 

 

北方謙三「波王の秋」

北方太平記シリーズの最後を締め飾る作品。海に生きる漢たちの生き様に熱き血潮が燃え滾る。
小四郎か海嶺宮のどちらかは兼良親王の血を引いてるのでは、と思いながら読み進めた。一方で、ここで藤原純友の子孫として、群一族を登場させるとは!
なんにしても、今回も熱い浪漫に溢れ、この良さが分からぬ草食男子は雑草でも食いながら去勢されちまえ!!!

 

波王の秋 (集英社文庫)

波王の秋 (集英社文庫)

 

 

 

アンジェラ・ダックワース「GRIT やり抜く力」

一言でいうと、「才能より努力、努力、努力」な本。努力が大切ということは分かるが、チトくどいかも。

「継続は力なり」という言葉があるが、まずは、1つのことを続けてみること。そこから、何かしらupdateすることの面白さ、楽しさを見つけていくのだ。

 

やり抜く力 GRIT(グリット)――人生のあらゆる成功を決める「究極の能力」を身につける

やり抜く力 GRIT(グリット)――人生のあらゆる成功を決める「究極の能力」を身につける

 

 

 

ヴィクトール・E・フランクル「夜と霧」

かつて、人生最悪の時を乗り越えられたのは「自分が、今、何をすべきか」ということに気付いたからではないか。一言で言えば、「志」みたいな。

この世に生を受けたからには、人にはそれぞれの使命が与えられ、己の志をもって果たす。

当時、「夜と霧」は読んだことはなかったけど、今回読んで、そういうことなのかと共感できた。

この先の人生において、出来れば挫折経験は避けたいが、そう簡単に避けられるものではない。そんな時に改めて、この言葉について考えてみたい。

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「生きるとはつまり、生きることの問いに正しく答える義務、生きることが各人に課す課題を果たす義務、時々刻々の要請を満たす義務を引き受けることにほかならない」

 

夜と霧 新版

夜と霧 新版