魚編に虎と書いて鯱と読む!!

名古屋で読書会サークルを主催しています。読書の話を中心に徒然と書きます。グランパスが大好き。本職は公認情報システム監査人やってます。

2017-06-01から1ヶ月間の記事一覧

勝海舟「氷川清話」

僕の中では勝海舟といえば、「新選組!」の野田秀樹さん一択。チャキチャキの江戸っ子、ってのは、こんな人なのかなあ?なので、この「氷川清話」を読んでても野田秀樹演じる勝海舟が語りかけてくる感じです。結構、辛辣なことも書いてますが、江戸城無血開…

夏目漱石「三四郎」

いやあ、僕も今まで色々な恋愛経験ありましたよ。そりゃあ、人様には話せないような残念な経験も。で、人によっちゃ賛否両論あるのは分かりますが、なーにがストレイシープだ、この野郎!バッカじゃないの、と言いたいわけです、それだけです。はい。 樋口一…

三谷幸喜「清須会議」

三谷幸喜のオタク気質は半端ない。半端ないからこそ「真田丸」や「新選組!」といった名作が生まれたのだ。「清須会議」もそのオタク気質から生まれた訳で、柴田勝家に丹羽長秀、池田恒興をここまで掘り下げて描いた作品が他にあったか?それにしても、織田…

「竹取物語」

日本人なら誰もが知っている「かぐや姫」の原作。でも雰囲気が少し違う。作者不明とあるがゆえ政治批判の匂いもプンプンとするし。 帝の登場あたりから、姫の心情が変わりつつあるのがよく分かる。一人の少女が「真の愛とは何か」を知り、大人の女性に成長し…

紀貫之「土佐日記」

55日間のうち、1日も欠かすことなく記録する継続性は素晴らしいけど、なかには、一文で終わる日もあるので何とも言えない。そもそも日記と言いつつも、あとから「日記調」にしたのではないだろうか。貫之の狙いは『日記という形を借りて、ひらがなによる新し…

「平家物語」

あらためて読み直すと、平家物語は平家(の鎮魂)のための物語だという事がよく分かる。一族終焉の姿は切なく、涙を誘う。 というか、判官贔屓とか言われるけど、義経って結構ズルいしセコイし、パワハラ上司だよね! 平家物語 (角川ソフィア文庫―ビギナーズ・…

佐々木俊尚「21世紀の自由論」

いきなり「リベラル文化人」実名挙げてのぶった斬りで思わず爆笑。佐々木さん、こんな過激な人だったっけと思いつつ読み進めたけど、内容は硬派で読み応えあり。 結局のところ、様々な問題に対してどう折り合うのか、どうリスクマネジメントしていくのか、そ…

藤沢周平「秘太刀馬の骨」

もうタイトルからして、なんか根拠は無いけど凄そうなんですが、とにかく暴れ回る銀次郎(ノット主人公)に圧倒されっ放し。同じ藤沢作品「蟬しぐれ」のストイックな文四郎とは大違い。ドラマでは同じ内野聖陽が演じてるとはとても思えない(笑)。結局のところ…

北方謙三「波王の秋」

北方太平記シリーズの最後を締め飾る作品。海に生きる漢たちの生き様に熱き血潮が燃え滾る。小四郎か海嶺宮のどちらかは兼良親王の血を引いてるのでは、と思いながら読み進めた。一方で、ここで藤原純友の子孫として、群一族を登場させるとは!なんにしても…

アンジェラ・ダックワース「GRIT やり抜く力」

一言でいうと、「才能より努力、努力、努力」な本。努力が大切ということは分かるが、チトくどいかも。 「継続は力なり」という言葉があるが、まずは、1つのことを続けてみること。そこから、何かしらupdateすることの面白さ、楽しさを見つけていくのだ。 や…

ヴィクトール・E・フランクル「夜と霧」

かつて、人生最悪の時を乗り越えられたのは「自分が、今、何をすべきか」ということに気付いたからではないか。一言で言えば、「志」みたいな。 この世に生を受けたからには、人にはそれぞれの使命が与えられ、己の志をもって果たす。 当時、「夜と霧」は読…

夏目漱石「夢十夜」

結末が報われていない夢が多いのは漱石自身が心を病んでいたからなんだろうか?これらの夢は本当に見た夢なのか?多分、創作なんだろうけど、なんか心の内を明らかにしたような気がする。 文鳥・夢十夜 (新潮文庫) 作者: 夏目漱石 出版社/メーカー: 新潮社 …

田坂広志「いかに生きるか」

正直、最初のうちは独特の文体に何を言いたいのかよく分からなかった。読み進むに連れて著者の意図が分かると、非常に考えさせられる。あの震災を通じて、自分に何ができるのか、よく考え直してみる必要がある。「働く」ことの本当の意味、社会貢献の考え、…

フィリケえつこ「てんぐの てんちゃん ぴよよーん」

「どぼーん」「とことこ」といったオノマトペだけでストーリーが進んでいきます。繰り返される音は、心地よい響き、楽しいリズムとして耳に残ります。絵と音の両方を子供にも楽しんでもらいたいですね! で、ミルミルって何者よ? てんぐのてんちゃん ぴよよ…

鈴木輝一郎「信長と信忠」

偉大なる父・信長にコンプレックスを抱く息子・信忠を想像していたら、見事なまでに予想を裏切られた。嫉妬をしていたのは父・信長だった。母から愛されず、弟に裏切られ、そして最愛の妹まで敵に回した孤独な信長が、才能溢れる優等生タイプの息子に嫉妬す…

岸見一郎・古賀史健「幸せになる勇気」

前作「嫌われる勇気」は、フランクルやカーネギーと共通することがあったけど、今回はフロムの「愛するということ」そのもの。愛は与えられるものではなく、与えるもの。忘れそうになった時でも思い出せるように記録。 世界平和とか大それたことを言う前に、…

司馬遼太郎「王城の護衛者」

幕末において、もっとも勤王思想が強く、孝明天皇への忠誠が厚かった松平容保が瞬く間に逆賊扱いされるのは、まったくもって皮肉としか言いようがない。では、もし自分が容保の立場だったら? 同じ判断をして、同じ結果に終わっていたかも。なんとなく性格似…

「闇ウェブ」

厨二病な感じのタイトルとは反対に、迫りくる脅威。最近のサイバー犯罪者の狙い目は医療機関や保険会社のデータベースってのは納得。どれだけセキュリティに気を配っても完璧な防御などなく、今こうしてる間に、僕らの個人情報も知らない誰かに見られてるん…

高殿円「剣と紅」

大河ドラマ「おんな城主直虎」と同じく、井伊直虎を主人公とした作品。両作品で対照的な点はいくつもあるけど、共通なのは直虎と小野政次の微妙な関係性。そして、敢えて憎まれ役を演じる政次は確かに見ていて切ない。大河の直虎とは異なって、少しクールな…

ヒド・ファン・ヘネヒテン「ちっちゃな おさかな ちゃん」

いつもと趣向を変えて、今回は子ども向け絵本。赤、オレンジ、黄色、緑、青、紫と登場するキャラクターの色彩が鮮やか。ママと離れ離れになってしまったおさかなちゃんの冒険。子を持つ親の立場としては、再会のシーンでウルっときてしまいます。しっかし、…

川端康成「眠れる美女」

初めて読んだのは中学の頃で、当時はケシカランと思う本を読んでしまった背徳感から、最後まで読まないまま図書館に返したのは恥ずかしい思い出。 大人になって読み返すと、また違った感想を持つのも不思議だけど、今は「性」より「生」、いや「死」について…

ジーン・リース「サルガッソーの広い海」

主人公アントワネットこそが、名作「ジェイン・エア」のバーサだったという設定を知らずに読んでいたら、ただの悲しい女の一生を描いた物語、くらいの感想で終わっていた。結局のところ、旧植民地で生まれたが故に、運命に翻弄され、生きる気力も失ってく様…

内村鑑三「代表的日本人」

紹介された5人は揃って、世のため、人のためなら命を投げ捨てる聖人君子のように書かれているが、実際はどうだったのだろう。どことなくキリスト教の殉教者みたいに書かれている気もした。 内村鑑三自身の信じていたキリスト教が堕落していることに対する嘆…

アゴタ・クリストフ「悪童日記」

戦時下を生き抜くためには、ここまで逞しく、また強かでなければならないのだろうか?子供らしくないというより、その姿は「小さな大人」。読み易いのは、余計な感情や感想は書かず、ただ淡々と事実のみを記載したからだろう。 悪童日記 作者: アゴタクリス…

柳田国男「遠野物語」

『山の民』について、もう少し深く触れると思ったら、そうでもなく、不思議なモノに終始してる感じ。けど、日本中で同じような話が伝承されてるんだろうなあ。それには当然、似たり寄ったりの共通点もあって。もっと言えば、世界中に広がってるのかも。 遠野…

新渡戸稲造「武士道」

武士道とは我が国に古来より伝わり、我が国で生まれた唯一無二の民族精神であり、また道徳観念なのではないかと思う。欧米諸国のキリスト教配下による宗教教育との比較は様々な場面で興味深く感じる。 武士道 (岩波文庫 青118-1) 作者: 新渡戸稲造,矢内原忠…

ミルチャ・エリアーデ「マイトレイ」

マイトレイとアランが結ばれるまでの遣り取りが初々しいというか甘酸っぱい初恋の思い出みたいでキュンキュンくる分、後半との落差が切ない。本当に誰も報われない結末。始めのうちはアランを「舞姫」の豊太郎に重ねて読んでたけど、それは失礼。あの優柔不…

「近松門左衛門」

とにかく登場人物を殺しすぎ。一つには、死んで来世での幸せに期待する、ということ。もう一つは主要人物の死が観客の同情を誘うこともあったのだろうけど。とは言っても、原文のリズム感や「間」の取り方は素晴らしい。 近松門左衛門 『曽根崎心中』『けい…

谷崎潤一郎「刺青・秘密」

倒錯的な作品を読んで「キモっ!」と思う自分はMではない、と言い切ろうと思ったけど果たして、そうなのだろうか?突き詰めて考えてみると、人は誰しもSにもMにもなれる要素を身につけてるのではないだろうか?たまたま、今までの環境ぬ作用されていただけで…

北方謙三「破軍の星」

二十一歳の若さで散っていった北畠顕家の閃光のような生涯。それでいて洗練され、かつ力強さも感じる。敗れていくことが分かっていても、己の信念、そして夢へ向かっていく顕家の姿には心が熱く奮える。夢、誇り、志とは何であるか、人が生きていく上で大切…