魚編に虎と書いて鯱と読む!!

名古屋で読書会サークルを主催しています。読書の話を中心に徒然と書きます。グランパスが大好き。本職は公認情報システム監査人やってます。

読書

佐々木俊尚「21世紀の自由論」

いきなり「リベラル文化人」実名挙げてのぶった斬りで思わず爆笑。佐々木さん、こんな過激な人だったっけと思いつつ読み進めたけど、内容は硬派で読み応えあり。 結局のところ、様々な問題に対してどう折り合うのか、どうリスクマネジメントしていくのか、そ…

藤沢周平「秘太刀馬の骨」

もうタイトルからして、なんか根拠は無いけど凄そうなんですが、とにかく暴れ回る銀次郎(ノット主人公)に圧倒されっ放し。同じ藤沢作品「蟬しぐれ」のストイックな文四郎とは大違い。ドラマでは同じ内野聖陽が演じてるとはとても思えない(笑)。結局のところ…

北方謙三「波王の秋」

北方太平記シリーズの最後を締め飾る作品。海に生きる漢たちの生き様に熱き血潮が燃え滾る。小四郎か海嶺宮のどちらかは兼良親王の血を引いてるのでは、と思いながら読み進めた。一方で、ここで藤原純友の子孫として、群一族を登場させるとは!なんにしても…

アンジェラ・ダックワース「GRIT やり抜く力」

一言でいうと、「才能より努力、努力、努力」な本。努力が大切ということは分かるが、チトくどいかも。 「継続は力なり」という言葉があるが、まずは、1つのことを続けてみること。そこから、何かしらupdateすることの面白さ、楽しさを見つけていくのだ。 や…

ヴィクトール・E・フランクル「夜と霧」

かつて、人生最悪の時を乗り越えられたのは「自分が、今、何をすべきか」ということに気付いたからではないか。一言で言えば、「志」みたいな。 この世に生を受けたからには、人にはそれぞれの使命が与えられ、己の志をもって果たす。 当時、「夜と霧」は読…

夏目漱石「夢十夜」

結末が報われていない夢が多いのは漱石自身が心を病んでいたからなんだろうか?これらの夢は本当に見た夢なのか?多分、創作なんだろうけど、なんか心の内を明らかにしたような気がする。 文鳥・夢十夜 (新潮文庫) 作者: 夏目漱石 出版社/メーカー: 新潮社 …

田坂広志「いかに生きるか」

正直、最初のうちは独特の文体に何を言いたいのかよく分からなかった。読み進むに連れて著者の意図が分かると、非常に考えさせられる。あの震災を通じて、自分に何ができるのか、よく考え直してみる必要がある。「働く」ことの本当の意味、社会貢献の考え、…

フィリケえつこ「てんぐの てんちゃん ぴよよーん」

「どぼーん」「とことこ」といったオノマトペだけでストーリーが進んでいきます。繰り返される音は、心地よい響き、楽しいリズムとして耳に残ります。絵と音の両方を子供にも楽しんでもらいたいですね! で、ミルミルって何者よ? てんぐのてんちゃん ぴよよ…

鈴木輝一郎「信長と信忠」

偉大なる父・信長にコンプレックスを抱く息子・信忠を想像していたら、見事なまでに予想を裏切られた。嫉妬をしていたのは父・信長だった。母から愛されず、弟に裏切られ、そして最愛の妹まで敵に回した孤独な信長が、才能溢れる優等生タイプの息子に嫉妬す…

岸見一郎・古賀史健「幸せになる勇気」

前作「嫌われる勇気」は、フランクルやカーネギーと共通することがあったけど、今回はフロムの「愛するということ」そのもの。愛は与えられるものではなく、与えるもの。忘れそうになった時でも思い出せるように記録。 世界平和とか大それたことを言う前に、…

司馬遼太郎「王城の護衛者」

幕末において、もっとも勤王思想が強く、孝明天皇への忠誠が厚かった松平容保が瞬く間に逆賊扱いされるのは、まったくもって皮肉としか言いようがない。では、もし自分が容保の立場だったら? 同じ判断をして、同じ結果に終わっていたかも。なんとなく性格似…

「闇ウェブ」

厨二病な感じのタイトルとは反対に、迫りくる脅威。最近のサイバー犯罪者の狙い目は医療機関や保険会社のデータベースってのは納得。どれだけセキュリティに気を配っても完璧な防御などなく、今こうしてる間に、僕らの個人情報も知らない誰かに見られてるん…

高殿円「剣と紅」

大河ドラマ「おんな城主直虎」と同じく、井伊直虎を主人公とした作品。両作品で対照的な点はいくつもあるけど、共通なのは直虎と小野政次の微妙な関係性。そして、敢えて憎まれ役を演じる政次は確かに見ていて切ない。大河の直虎とは異なって、少しクールな…

ヒド・ファン・ヘネヒテン「ちっちゃな おさかな ちゃん」

いつもと趣向を変えて、今回は子ども向け絵本。赤、オレンジ、黄色、緑、青、紫と登場するキャラクターの色彩が鮮やか。ママと離れ離れになってしまったおさかなちゃんの冒険。子を持つ親の立場としては、再会のシーンでウルっときてしまいます。しっかし、…

川端康成「眠れる美女」

初めて読んだのは中学の頃で、当時はケシカランと思う本を読んでしまった背徳感から、最後まで読まないまま図書館に返したのは恥ずかしい思い出。 大人になって読み返すと、また違った感想を持つのも不思議だけど、今は「性」より「生」、いや「死」について…

ジーン・リース「サルガッソーの広い海」

主人公アントワネットこそが、名作「ジェイン・エア」のバーサだったという設定を知らずに読んでいたら、ただの悲しい女の一生を描いた物語、くらいの感想で終わっていた。結局のところ、旧植民地で生まれたが故に、運命に翻弄され、生きる気力も失ってく様…

内村鑑三「代表的日本人」

紹介された5人は揃って、世のため、人のためなら命を投げ捨てる聖人君子のように書かれているが、実際はどうだったのだろう。どことなくキリスト教の殉教者みたいに書かれている気もした。 内村鑑三自身の信じていたキリスト教が堕落していることに対する嘆…

アゴタ・クリストフ「悪童日記」

戦時下を生き抜くためには、ここまで逞しく、また強かでなければならないのだろうか?子供らしくないというより、その姿は「小さな大人」。読み易いのは、余計な感情や感想は書かず、ただ淡々と事実のみを記載したからだろう。 悪童日記 作者: アゴタクリス…

柳田国男「遠野物語」

『山の民』について、もう少し深く触れると思ったら、そうでもなく、不思議なモノに終始してる感じ。けど、日本中で同じような話が伝承されてるんだろうなあ。それには当然、似たり寄ったりの共通点もあって。もっと言えば、世界中に広がってるのかも。 遠野…

新渡戸稲造「武士道」

武士道とは我が国に古来より伝わり、我が国で生まれた唯一無二の民族精神であり、また道徳観念なのではないかと思う。欧米諸国のキリスト教配下による宗教教育との比較は様々な場面で興味深く感じる。 武士道 (岩波文庫 青118-1) 作者: 新渡戸稲造,矢内原忠…

ミルチャ・エリアーデ「マイトレイ」

マイトレイとアランが結ばれるまでの遣り取りが初々しいというか甘酸っぱい初恋の思い出みたいでキュンキュンくる分、後半との落差が切ない。本当に誰も報われない結末。始めのうちはアランを「舞姫」の豊太郎に重ねて読んでたけど、それは失礼。あの優柔不…

「近松門左衛門」

とにかく登場人物を殺しすぎ。一つには、死んで来世での幸せに期待する、ということ。もう一つは主要人物の死が観客の同情を誘うこともあったのだろうけど。とは言っても、原文のリズム感や「間」の取り方は素晴らしい。 近松門左衛門 『曽根崎心中』『けい…

谷崎潤一郎「刺青・秘密」

倒錯的な作品を読んで「キモっ!」と思う自分はMではない、と言い切ろうと思ったけど果たして、そうなのだろうか?突き詰めて考えてみると、人は誰しもSにもMにもなれる要素を身につけてるのではないだろうか?たまたま、今までの環境ぬ作用されていただけで…

北方謙三「破軍の星」

二十一歳の若さで散っていった北畠顕家の閃光のような生涯。それでいて洗練され、かつ力強さも感じる。敗れていくことが分かっていても、己の信念、そして夢へ向かっていく顕家の姿には心が熱く奮える。夢、誇り、志とは何であるか、人が生きていく上で大切…

紫式部「紫式部日記」

鬱屈した書き出しは、イメージした紫式部とは程遠く、意外と謙虚というか、しおらしいと思ったのだけど、、、「三才女批評」を読んで納得。このイメージだ(笑)。ただ清少納言に対しては、政治色を感じるというか、道長派としての姿を感じる。 紫式部日記 ビ…

魯迅「故郷/阿Q正伝」

阿Q正伝を数年振りに読んだけど、最後、こんな終わり方だったかなと疑ってしまうくらい、後味が悪かった。 反対に、故郷のラストフレーズは何度読んでも、本当に素敵な文章だと思う。 - 希望とは本来あるとも言えないし、ないとも言えない。これはちょうど…

P.F.ドラッカー「プロフェッショナルの条件」

まずは成果を期待しえなくなった不要なものを如何にして切り捨て、過去と訣別するか。 そして、次に自分の「強み」を見つけねば。 ただし、自分の強みを活かすことも大切だけど、上司の強みを活かすことも大切。 今の組織の中で何ができるのか、そんなことも…

恩田陸「蜜蜂と遠雷」

かつて天才少女と呼ばれながらも姿を消した女子大生(ただし、天然)、その天才少女との出逢いが才能を開花させた王子様キャラの幼馴染(ただし、天然)、規格外のファンタジスタ(ただし、天然)の3人。 それぞれの才能に刺激を受け、コンクール中も進化し続ける…

三島由紀夫「潮騒」

三島のクセに、爽やか青春物語じゃないか!金閣寺と打って変わって、清々しくもあり引き込まれて、一気に読み終えた。無口で不器用、でもマジメで純情な主人公。ラストは想い人と結ばれるハッピーエンド。正直というか誠実こそ報われる。 とにかく、蜂さんG…

岡倉天心「茶の本」

天心が訴えたかったのは、単に「お茶」が素晴らしいということではなく、「他者との共生」「自然との共生」であるということ。でも、エコロジーの先取りというのは言い過ぎでは?それはさて置き、一杯のお茶でも啜ろうではないか。 新訳・茶の本―ビギナーズ…

E.H.カー「歴史とは何か」

「歴史とは何か」というより「歴史家とは何か」。我々が目にする「歴史」をどのようにまとめているかが描かれている気がした。歴史家は、ただ事実を列挙するのではなく、判断を持って取り上げなければならない。 なぜ、人々は歴史が好きなのか、歴史を振り返…

曲亭馬琴「南総里見八犬伝」

これだけ男子の少年心をくすぐる作品は古今東西探しても数少ないだろう。分かりやすいくらい、悪者が痛い目に遭い、正しい者が報われる。単純な構図だけど、疲れてる時には心地よい。しかし、信乃の元・主人公っぷりが哀しい。すべて親兵衛に持ってかれたね…

藤沢周平「蝉しぐれ」

幼な馴染みとの淡い恋、友情、家族に訪れる悲劇、相次ぐ逆境を乗り越え、絶体絶命のピンチの中、かつての想い人を助け、巨悪に一矢を報いる。まさに漢にとって最高に燃えるシチュエーションではないか!一方で一青窈の「かざぐるま」がピッタリくる切ない恋…

三浦知良「やめないよ」

やるべき事を来るべき時のために欠かさず行う。いくつになっても「学ぶ」ことを忘れないからこそ、今の地位を維持できるのであろう。心の弱っている時に読み直すことで、何か勇気をもらった気がする。諦めず、常に上を向いて歩こう! やめないよ (新潮新書) …

早見俊「うつけ世に立つ」

僕が生まれ育った岐阜の街を描いた作品。とは言っても450年前のお話だけど。 織田信長の文化人としての側面として、落語の祖とも言われる安楽庵策伝や鵜匠たちとの交流を描いており、今までの作品とは違う信長像が新鮮。 また、残酷にも見える行為の裏で思い…

井上靖「風林火山」

この小説は、勘助、由布姫のプラトニックな愛、もしくは信玄を加えた三角関係を描いた純愛小説なのではないか。もしくは「化物」勘助が人としての愛を知る物語。 風林火山 (新潮文庫) 作者: 井上靖 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2005/11/16 メディア: 文…

三宅秀道「新しい市場のつくりかた」

新しい市場を作るという行為は、単にモノを作って売ると言うのではなく、新しいライフスタイルや文化を創造することである、と言うのが一貫した著者の主張。なかなか難しいことを、と思ってしまうが、例えば、今の自分の生活を省みた時に、「まあ仕方ない」…

ショウペンハウエル「読書について」

悪書は読まぬこと、と言われても読んでみないと分からない。まずは少し売れてるからと言って、安易に手を出さぬこと。量より質。一冊一冊、自分の頭を使って考えながら、本を読もう! 読書について 他二篇 (岩波文庫) 作者: ショウペンハウエル,Arthur Schop…

ウイリアム・シェイクスピア「リア王」

最後まで誰も救われない後味の悪さが実にシェイクスピアな作品。だけど、何年か周期で読み直したくなる。 リア王 (光文社古典新訳文庫) 作者: シェイクスピア 出版社/メーカー: 光文社 発売日: 2013/12/20 メディア: Kindle版 この商品を含むブログ (1件) を…

アーネスト・ヘミングウェイ「老人と海」

ヘミングウェイの何が好きって、あの「草食男子?去勢されて死ね!」的な雰囲気が割と好きだ。北方謙三と重なって見えるかも。昔は、あまり意識しなかった台詞だけど、40になって読み返すと、なんか感慨深い。「まあ、負けてしまえば気楽なものだ。こんなに…

ロバート・B・チャルディーニ「影響力の正体」

今回、「影響力の武器」から「影響力の正体」に改題されたのは時代の流れか。消費者を欺こうとすれば見破られて炎上。それでも、次から次へと現れるグレーな商法に立ち向かうための本。 影響力の正体 説得のカラクリを心理学があばく 作者: ロバート・B・チ…

中勘助「銀の匙」

最近、こんなにピュアで甘酸っぱい思いをすることはなくなったなあ。 取り合えず、人の恋路を邪魔する奴は馬にでも蹴られちまえ! 銀の匙 (岩波文庫) 作者: 中勘助 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 1999/05/17 メディア: 文庫 購入: 15人 クリック: 150回…

F・スコット・フィッツジェラルド「グレート・ギャッツビー」

ギャッツビー、なんか寂しいよなあ、ギャッツビー。 滅茶苦茶リア充を目指してたのに、なりきれなくて、最後はグサリと...。 ギャッツビー、なんか切ないよなあ、ギャッツビー。 グレート・ギャッツビー (光文社古典新訳文庫) 作者: F.スコットフィッツジェ…

日本文学全集 第1集

何を思ったのか、何かが降りて来たのか分かりませんが、この2週間ほど、河出書房の池澤夏樹個人編集-日本文学全集シリーズより、第1集の12冊を紹介してみました。 どれもこれも読み応えのある一冊です。機会があれば、次は第2集にチャレンジしてみます。 な…

井原西鶴「好色一代男」

若干馬鹿馬鹿しくもあるけど、現代では絶対に出来ないであろう自由きままな生き方は、どこか羨ましい。そして、本当にモテる男というのは、どんな女性にも優しく出来ること。 好色一代男/雨月物語/通言総籬/春色梅児誉美 (池澤夏樹=個人編集 日本文学全集11)…

石牟礼道子「水はみどろの宮」

社会問題を描いた代表作「苦海浄土」とは異なり、ファンタジー要素の強い作品。草の声、水の声、風のささやきや山の精との対話から生まれるものは何か?時には、目に見えない何かの声に耳を傾けることも大切なのかも。 石牟礼道子 (池澤夏樹=個人編集 日本文…

「宇治拾遺物語」

原文がどうこうと言うより、この町田康の新訳が傑作というか反則。瘤取り爺さんの話を始め、馴染み深い物語も町田フィルターで規格外のストーリーに。 絶対にお洒落カフェや電車の中では読まないでください! 日本霊異記/今昔物語/宇治拾遺物語/発心集 (池澤…

日野啓三「向う側」

読むタイミングとしては、まさに今かという気もする。ある意味、残念だけど。戦場の泥臭い腐臭が纏わりついてくる作品。 日野啓三/開高健 (池澤夏樹=個人編集 日本文学全集21) 作者: 日野啓三,開高健 出版社/メーカー: 河出書房新社 発売日: 2015/08/12 メデ…

折口信夫「口訳万葉集」

高校時代、万葉集の代表歌人として名前さえ覚えておけば、古典か日本史で点取れたくらいの記憶しかなかった山上憶良。子を持つ親の立場になって、その良さというか、子を想う気持ちが分かってきた。妻子の待つ家に早く帰りたい。という気持ちがよく分かる。 …

大江健三郎「治療塔」

度重なる核戦争によって汚染された地球より脱出する選ばれら人類たち。絶望感が終始漂うストーリー。他の作品もだけど、大江健三郎はどんな絶望と戦ってるのだ? 大江健三郎 (池澤夏樹=個人編集 日本文学全集22) 作者: 大江健三郎 出版社/メーカー: 河出書房…